概要
中国武術では武器のことを一般に器械、兵器などと呼びますが、八極螳螂門では兵器という呼称を用いています。
兵器には非常に多くの種類がありますが、剣、刀、槍、棍が四大兵器と言われます。
八極螳螂門では、両手で操作するため比較的容易な四路苗刀から兵器の練習を開始します。
徒手と兵器の関係
使用される兵器は、拳種ごとに異なりますが全く武器を用いないという拳法はありません。
そもそも武術の発達が、戦乱時に武器を取って戦うことから始まったことを考慮すると、武術の本質は兵器術であると言えます。
そのため徒手拳術は兵器を扱う前に学ぶべき身体操法の訓練であると考える人もいます。
ほとんどの拳法において、徒手と兵器の両方を学ぶことで武術の理解がより深まると考えられています。
兵器の種類 - 短兵 -
片手で持って扱う短い兵器のことで剣、刀、斧、錘、鞭、鉤、輪などがあります。
刀と剣は日本では混同されて使われていますが、中国武術では片刃で曲線的なものを刀、両刃で直線的なものを剣とはっきり区別しています。
- 剣 -
突、切りの動作を主としますがその動作数は多く非常に高度な技術が必要であるとされています。
三才剣、崑吾剣、太極剣などを学びます。
- 刀 -
叩きつけるように切る動作が多く、剣に比べ動作が単純で力強いことが特徴です。
らん門刀、劈掛瘋魔単刀、太極刀、八卦刀などを学びます。
- 苗刀 -
倭寇が使った日本刀を元に明代から製造されている長大な刀のことです。
一般の日本刀に比べ、長さが有る割に細く軽量に造られているため、苗刀(苗のように細長い刀)といいます。
倭寇を撃退した明の将軍・戚継光は、倭寇との戦いの後、倭の刀法を研究し『辛酉刀法』を著しました。
その後、倭の刀法を劉雲峰に学んだ程宗猷は、『単刀法選』を著し、さらに呉殳が『単刀図説』を著しました。
現在まで伝わる苗刀の技法は、これらの書の内容がもとになっています。
八極螳螂門で練習する「苗刀」は清代に河北一帯で流行した「四路苗刀」で、他にも麒麟苗刀が伝承されています。
兵器の種類 - 長兵 -
柄のついた長い兵器のことで槍、棍、大刀、戟、矛、鉞、机、槊、杵などがあります。
- 棍 -
日本武道で言うところの棒術に相当します。
中国武術では、よくしなる白蝋樹(アオダモと近縁種のトネリコ)で作られる白蝋竿を使います。
棍は、全ての長兵の基本となる動作を含んでいるために「棍を百兵の首と為す」という拳諺があります。
八極螳螂門では、瘋魔棍、しゅつ手棍、盤龍棍などを学びます。
- 槍 -
白蝋竿の柄の先に刃をつけた構造です。
火器が発達する以前は、槍は最も洗練され、実用性が高い兵器であると考えられていました。
使いこなすには高度な技術と身法が要求されます。
螳螂拳には、梨花槍や黒虎槍などが伝承されています。
高弟は八極拳の六合大槍を学びます。
兵器の種類 - その他 -
一般的にも有名なヌンチャク(二節棍)や鞭、その他"暗器"と呼ばれるものも兵器とされます。
- 軟兵 -
鎖やヒモなどを使って、形が固定していない、折り畳める武器です。
八極螳螂門では、秘門螳螂拳に伝承されている二節棍(ヌンチャク)、三節棍、九節鞭などを学びます。
- 暗器 -
いわゆる“隠し武器”のことで、日常的な用品にみせかけて普段は懐中に隠し持ち、非常時に用います。
飛ひょう、弾弓、飛剣、飛刀、飛針、点穴針などがあります。
その他、刀や剣などの兵器に補助的に用いるものを“佐助兵器”と呼びますが、これは多くのものが暗器と共通します。
蘇昱彰老師は夜行術(中国忍術)を習得されており、高弟は一通りの暗器の知識と使用法を学びます。