八極螳螂武藝總舘日本分舘

八極螳螂武藝總舘日本分舘　分舘長　野田久貴

蘇�c彰老師率いる八極螳螂武藝總舘は、１９９８年１２月２７日から１９９９年1月４日まで、恒例の第４回国際合宿をベネズエラのメリダで開催した。世界各国の学生が、カラカスに集まり、そこから飛行機で合宿地メリダに向かった。メリダは、アンデス山脈の北端、メリダ山脈の中心に位置する高原都市で、赤道近くに位置しながら、年平均気温２０度という温暖な気候に恵まれている。
　今回で４回を数える国際合宿は、過去最高の１００人以上の学生が世界各国から集まった。そのため講習内容も各拳種ごとに上級、中級、初級と細かくクラス分けされた。日本分館からは、筆者をはじめとして北海道支部長宮林康氏をはじめとするベテラン７人が参加したが、蘇�c彰師父より国際教練に任命され、八極拳などの指導の手伝いをした。今回の学習内容は、八極拳、劈掛掌、八卦掌、気功、対練、兵器であるが、メインは八極拳と劈掛掌であり、集中練習によって一般学生にも八極と劈掛の勁力を身につけてさせることにある。拝師弟子には、一般練習の合間に,密かに指導が行なわれた。
　八卦掌では八性掌と八性連掌、八卦腿拳そして三才繞掌が指導された。八性掌と八性連掌は基本身法を練るための重要套路で、昔はこれを省略していきなり上級の套路を指導することが多かったと言う。三才繞掌は、八卦腿拳で３つの円を回る練習をする。
　対練では螳螂拳、八卦掌、太極拳のグループに分かれて各拳種の基本対打が指導された。気功もクラス分けされ、特に排打功が指導された。

　１月６日は、地球最後の秘境と言われるギアナ高地の観光ツアーが用意されており、シモン・ボリーバル国際空港よりプロペラ機で現地に向かった。現地の空港で着替え荷物を預けてから、奥地に入ると聞かされていたが、飛行機が着陸したところは、大平原のど真ん中で、あたりには小屋が一つあるだけであった。ジャングル探検は、渓流でずぶ濡れになりながらも、大自然の気に触れ、合宿の疲れも全部吹き飛んだようであった。ツアーの最後は、悪魔の山と言う意味のアウヤン・テプイや世界最高の落差を持つ滝エンジェルフォールの神秘的な景観を上空から眺めカラカスに戻った。

　ベネズエラ分館は３０年近い歴史があり、蘇�c彰老師の開舘当時からの弟子の中には、とてつもない怪物が存在している。そのうちの一人マトゥーデ５段は、Ｗ.Ａ.Ｋ.Ｏワールドムエタイチャンピオンシップの優勝者であり、ちょうど我々がカラカス入りした頃、試合を終えタイより帰国したところであった。その姿は肋骨をギプスで固定し激戦を物語っていたが、見事５年連続優勝を果たしたそうだ。そして蘇�c彰老師より試合前に伝授された螳螂拳の秘技がなければ今年は本当に危なかったと感想をもらしていた。その技は、首相撲からの膝蹴りに対処し、そのまま攻撃につなげる技で、まさに螳螂拳の発想だと感じさせるものであった。日本分館でもグローブ空手に参加しているが、グローブを付けるとどうしても、キックボクシング的発想となってしまい、反省させられるところがあった。